伝説の男


実は先月、日本に行って、仕事以外にぜひ参加せねばならぬことがあった。それがこの写真。ただの酔っ払いの写真と、いうなかれ。実は高校陸上部のOB回が、東京であった。34年振りに再会を果たした先輩もいた。それが伝説の男、写真左のO先輩である。このO先輩は、中学は野球部で、陸上は高校から始めたと云う。僕のふたつ上、である。何が凄いかと云うと、陸上東京都大会100M優勝。何で無名の都立高校の選手が?と、当時名門だった「関東高校、中大杉並高校、保善高校」らの選手たちは、臍を噛んだに違いない。そうこうしているうちに、南関東大会も優勝。10秒7だったそうだ。当時名門とうたわれていた「市立船橋、成田東、農大二高」の選手も、誰にも彼にかなわなかった。一度も負けることなく、インターハイに進んだのである。それは当時さしたる話題にはならなかったが、野球で云えば、初めて都立高校が甲子園に行くようなもんで、想像を遥かに超えていた。そして運命のインターハイ。優勝候補に押す声もあったが、準決勝で痙攣を起こし敗れた。今回はその当時の気持ちを、聞くことが出来た。僕が聞きたかったのは「優勝する自信はあったか?」ということである。優勝する自信はなかったが、「上の大会には滑り込み行ける」と思ったそうである。流石である。実はこの先輩のお陰で、自分の人生が変わったことがある。スタートの練習時、自分も早い方だと思っていたが、スターターピストルが、なるかならないかのコンマ何秒の時に、いくらやっても一歩目の時に彼の尻が見えるのである。早かったかもしれないが、(あーこれは努力しても無駄っていうもんがあるんだ」と、その時確かに感じた。今になって思えば「イチロー」や「北島康介」に、いくら彼らよりその種目が好きであっても、いくら努力して彼らの何倍やっても追い越すのは、無理は無理。それを高校1年の時に気づかせくれた先輩にその話をし、感謝の礼を述べた。それ以降社会人になり、自営業になったが、出来ないことはやらない、無駄な努力はしないでやってきた。ある面、自分の恩師とも呼べる先輩との再会は、素晴らしいものとなった。でもね、ひとつ上の先輩達のいじめひとつなかったのが、この伝説の先輩との出会いと同じくらいに、今思えば自分が、伸び伸びやれてる要因になっていると、僕はいつも思っている。

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