アロハシャツ
一番最初にアロハシャツがかっこいい、アロハを買ってみようと思った劇的な瞬間は「ビッグウェンズデー」と云う映画を見た時だ。ジャンマイケル・ビンセントと、ウィリアム・カットのアロハシャツの着こなしが、とてつもなくかっこ良く、自分も着てみたいと思った。東京では今取引がある「渋谷のレッドウッド」や「渋谷のレミネッセンス」などでちょくちょく買っていた。それから数十年後アメリカに渡り、サンフランシスコの古着屋でヴィンテージのアロハシャツを買った。この時は恐らく自分の中で第二次アロハブーム。これからはひたすらに、新旧問わずアロハシャツを買いまくった。ロスに住んでいる頃は、ツアーの仕事で行ったサンタカタリナ島で、アロハシャツを売っていた。けっこう洒落た柄が取り揃えてあり、勢いよく買った。
第三次アロハブームは、「地上より永遠に」でモンゴメリー・クリフトが、誠に見事にアロハシャツを着こなしているのを見てだ。それからはまた、この映画で使っていた柄を収集するようになった。
そうこうしているうちに、ハワイ製の品質の悪いことに気づく。60ドル以上のお金を出して、購入しようと云う思いが薄れてきた。
たまたまアメリカ本土の旅行会社にも慣れ、これからの人生どうしようと思案している頃、「アロハシャツに良いものがないなら作っちまえ〜」と超いい加減なところからスタートした。今考えたら、その当時何を思って行動したかたはわからない。なにせボタンはどこで買えばいいのか、どこで生地を染めるのか、どこで縫うのか、どこに売りに行けばいいのかわからず始めたのだから………。
そんなこんなのところから、今に至る訳で数々の人達に支えていただきながら遂に10年目を迎えた。
今は最高の染め(抜染)を日本で施し、ハワイに船で生地を運び、最高のオイスターシェルのボタンを付け、ハワイで縫い、日本とハワイで販売している。顧客はニュージーランドやスペインなど、ワールドワイドになってきている。2007年にはユナイテッドアローズ、2009年には新宿伊勢丹メンズ館と取引が始まった。
まだまだアロハシャツ自体、日本では知名度が低い。これから、こんな気持ちのいい元気の出る服があるんだ、またこんなかっこいい服があるんだと、喜んでもらえる物作りを心がけたいと思う。
KC Kiuchi, Kona Bay Hawaii, LLC.