正月なので縁起の話


縁起とは物事の始まり、また因縁によって、万物が生じ起こることある。僕は意外にも、験担ぎが好きである。さてこの写真の説明を、せねばなるまい。この財布は、ある御方からいただいた。年の瀬の、30日にである。この御方は、昨年何か見えない「縁」が瞬間的に結びついた。これは僕サイドの勝手な思いである。この方会った時から、「福があり、徳がある」と僕は看破した。3回目にお会いした時に、図々しく「財布を買っていただけませんか?」と僕が云った。今の時代に非常に図々しい話である。しかし時を少し戻し、僕らを江戸においてみたい。小さな商いをしている呉服屋の店主がいた。小さいながらもこだわりを持ち、商いをしていた。贔屓にしてくれる旦那に、徳のある材木商で名を上げた御方がいた。店主はその贔屓の旦那に、「今日はひとつお願いがございます」と頭を下げた。ふっと険しい表情になった旦那は「わしにできることか?」と云った。「まことに図々しいお願いでございますが、ひとつ新しい財布をいただけませぬか?」。「なにゆえじゃ?」「はい。豊かな方からいただきとうなりました」「金はいらぬのか?」「はい、お金は生きていれば、いくらでも機会は回ってくるでございましょう」「あははははは面白い奴よ。少し時間をくれ」てな感じのイメージで、頼んでみたのである。その御方はわざわざシンガポールで、クロコの材料を買い、仕立ててくれた。それがこの写真。今年はこれで、勝負するとしよう。僕が豊かになった時、歳の離れた若者にこういう贈答できるように。かたじけのうございました。と、こんな粋なやり取りがあった。

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